【症状別】まぶたのできものの原因と治療方法
赤く腫れたできもの:麦粒腫
まぶたの縁の赤い腫れ・痛みを伴うできものを「麦粒腫」と言います。白目が充血したり、できものから膿が出ることもあります。
主な原因は、黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌など細菌の感染です。
治療では、抗生剤を用います。点眼・内服、軟膏の塗布などを行います。膿が溜まっている場合には、切開をしたり針を刺したりして排膿させることもあります。
まぶたのしこり:霰粒腫
まぶたにできる痛み・赤みのないしこりのことを「霰粒腫」と言います。ただ、感染を起こした場合にはこれも痛み・赤みを伴います。
原因は、まぶたのマイボーム腺の詰まりによる炎症です。
治療では、ステロイドの点眼、軟膏の塗布などを行います。化膿している場合には、抗生剤を使用したり、切開して膿を出すことがあります。難治性の霰粒腫、再発を繰り返す霰粒腫の場合には、霰粒腫を摘出する手術を検討します。
やわかいしこり:脂肪腫
「脂肪腫」とは、皮下にできるやわらかいしこりです。通常、まわりの皮膚と同じ色をしており、痛みもありません。放置しているとだんだんと大きくなります。好発部位として肩・背中・首が挙げられますが、腕・脚・お尻、そしてまぶたや結膜にも発生することがあります。
治療では、手術が必要になります。
目のきわの白い小さい粒:マイボーム腺梗塞
マイボーム腺梗塞とは、涙を構成する油を分泌する「マイボーム腺」が詰まった状態を指します。まつ毛の根元付近にできる白く小さいできものとして認められます。ほとんど無症状ですが、大きくなると異物感が生じます。
マイボーム腺で固まった油が詰まることを原因とします。
圧迫によってマイボーム腺の詰まりを押し出す・切開をして摘出する、まぶたを温めて詰まりを解消する等の治療を行います。
薄い黄色のできもの:眼瞼黄色腫
上まぶたで左右対称に生じることが多い、薄い黄色の扁平のできものです。まわりの皮膚との境目がはっきりしています。
はっきりとした原因は分かっていませんが、脂質異常症の影響が指摘されています。
手術によって摘出したり、炭酸ガスレーザーで削りとったりします。
1~4mmの盛り上がり:汗管腫
まぶたに発生しやすい、直径1~4mm程度の平らな盛り上がりです。良性腫瘍であり、痛み・赤み・かゆみなどはありません。
原因は、女性ホルモンのバランスの変化や加齢によるエクリン汗器官の増殖と言われています。
良性であるため基本的には経過観察となりますが、見た目が気になる場合には手術やレーザーによって腫瘍を取り除きます。
ニキビのようなできもの:脂腺増殖症
主に額や鼻などにできる、オレンジ色に近いニキビのようなできものです。大きさは1~5mm程度です。ニキビとは異なり自然に治ることはなく、だんだんと大きくなっていきます。
原因は加齢などに伴う皮脂腺の増殖・肥大です。
治療では、手術、レーザー治療、イソトレチノイン内服などを行いますが、比較的再発しやすいできものです。
白い小さい粒:稗粒腫
直径1~2mm程度の硬く白いできものです。
はっきりとした原因は分かっていませんが、皮膚にできた袋状の組織に角質が溜まることで隆起します。傷が治る過程で発生するケースも見られます。なお、人にうつることはありません。
見た目が気になる場合には、圧出法やレーザーによる治療を行います。
イボ:脂漏性角化症(老人性イボ)
中高年の方に見られる盛り上がりのある良性腫瘍です。褐色~黒色をしています。
加齢に伴う皮膚の老化、長年にわたる紫外線の暴露を原因とします。
液体窒素を用いた冷凍凝固療法、電気メスを用いた切除・焼却、レーザー治療などが行われます。
瞼の横の皮膚のでっぱり:皮様嚢腫・類皮嚢腫
子どもによく見られる、瞼の外側にできる良性腫瘍です。
胎児期に皮膚がめり込むことで発生すると言われています。
治療は、手術による切除です。子どもの場合、全身麻酔が必要です。
ほくろ:母斑
体表に先天的または後天的にできる5mm以下の良性腫瘍です。
メラノサイトが母斑細胞に変質し、かたまりとなることで発生します。
治療では、メスやレーザーを使って除去します。悪性腫瘍の疑いがあるもの、日常生活の邪魔になっているものなどは、治療に保険が適用されます。
まぶたにできる悪性腫瘍の種類
基底細胞がん
まぶたにできる悪性腫瘍としてもっとも多いのが、基底細胞がんです。
基底細胞(表皮を構成する細胞)が増殖して腫瘍化します。転移することはほぼありません。
手術によって切除します。また非常にまれですが必要に応じて、放射線療法を併用します。
扁平性上皮がん
表皮の角化細胞から発生するがんです。リンパ節や遠隔臓器に転移しやすく、悪性度は高くなります。
転移がない場合は手術単独の適応となります。転移がある場合には手術に加えて化学療法・放射線療法の併用が考慮されます。
脂腺がん
まぶたの皮脂腺であるMoll腺やZeis腺などに発生するがんです。リンパ節に転移しやすく、悪性度も高くなります。
周囲の皮膚を含めて手術で切除する必要があります。これに伴い、まぶたの再建手術も必要となることがあります。場合によっては、放射線療法を併用します。
メルケル細胞がん
皮膚の感覚を司るメルケル細胞ががん化して発生します。典型例では赤い盛り上がりとして認められ、徐々に大きくなります。リンパ節に転移しやすいがんです。
治療では、手術、放射線療法などが行われます。放射線療法がよく効き、単独で実施されることもあります。
まぶたのできものは何科を受診する?
まぶたにできものが発生した場合、考えられる受診先として主に眼科・形成外科・皮膚科が挙げられます。それぞれの診療科を選ぶ際の目安について、ご紹介します。
眼科
まぶたのできものに加え、目の痛み・充血、視力低下などがある場合に受診をおすすめします。
まぶた・眼についての専門的な診療が受けられます。
形成外科
まぶたのできものの見た目が気なる場合、きれいに直したいという場合には、形成外科がおすすめです。
形成外科の医師は日常的に外科的な治療、機能面・整容面にこだわった治療を行っているため、そういった点を重視する方にとっても安心です。
皮膚科
皮膚科では、皮膚に生じる疾患全般の診断・治療を行います。
まぶた以外の皮膚にも症状が現れている場合、かゆみが強かったり、短期間で病変が広がっている場合には、皮膚科の受診をおすすめします。